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新島伝統の獅子木遣りが今年も夜宮に登場!

Posted on 2024年12月6日

昨年に続いての親子獅子披露。中高生による木遣りソロも

新島の総鎮守・十三社神社に古くから伝わる神事「獅子木遣り」。勇壮な木遣り歌に合わせて雌雄の獅子が練り歩く、新島独特の獅子舞です。

一般的な獅子舞は、笛や太鼓などのお囃子に合わせて、1人または2人組の踊り手が獅子を軽やかに演じるというのが一般的なスタイル。それが新島の場合お囃子は一切なく、代わりに音頭衆と呼ばれる歌い手が生で木遣りを歌います。独特の節回しが特徴の木遣り歌を、全員で息をそろえて歌う音頭衆の歌は迫力満点。

一方、新島の獅子は大人数が胴幕の中に入って動く「百足(むかで)獅子」と呼ばれる系譜で、5人1組で1体の獅子を演じています。周囲が見えない胴幕の中で、5人が動きを合わせて1体の獅子を表現します。

一言で言うと、どちらもめちゃくちゃ難しい!

一朝一夕では演じられない難易度の高い芸能でありながら、10年以上披露されなかった時期もあり、技の継承が危ぶまれていた獅子木遣り。それが2019年の令和改元時に久しぶりに披露され、「このまま獅子木遣りを廃れさせてはいけない」と復活の機運が高まることに。

その流れを受けて、かつて島の子どもたちが神社の例大祭前夜の「夜宮」で演じられていた子獅子(獅子木遣りの子どもバージョン)を復活させよう!という話が持ち上がり、1年前の2023年、20年ぶりに復活を遂げました。

昨年の様子

 

その子獅子が、今年も夜宮に登場します。

昨年の復活を「一度だけで終わらせてはいけない」と、獅子木遣り保存会の若手を中心に活動を継続。子どもたちの参加者を募り、10月から稽古を続けてきました。島の男衆は消防団など島の機能を維持するためにさまざまな役割を担っていることが多く、忙しい日々の中で子どもたちを指導し稽古を重ねるのは簡単なことではありません。

雌獅子の低い動きを指導

 

こちらは雄獅子の獅子頭の動き方を指導。雌雄の違いがこれだけでもよくわかる

 

そんな保存会の熱意もあり、今年は昨年の舞台に参加した子から新たに加入した子など、メンバーが増えてパワーアップ!小学1年生~中年生の子どもたちが、胴柄衆として雄と雌それぞれの獅子を演じます。木遣りを歌う音頭衆は、ベテラン陣とともに子どもたちも参加。中学生、高校生によるソロも披露されます。

クライマックスは雄の親子×雌の親子という4体の獅子が躍る親子共演。獅子の親子共演は夜宮でしか見られない特別パフォーマンスなので、お見逃しなく!

十三社神社例大祭の前夜祭「夜宮」は2024年12月7日(土)の夜。6時半頃から神社境内の神楽殿で歌や踊りなどの演芸が披露され、獅子木遣りはトリで登場します。みなさま、ぜひご覧ください。

 

★獅子木遣り、ここが見どころ★

・新町のオス、原町のメス、動きの違いに注目

獅子木遣りの獅子は、オスとメスの雌雄一対で演じられます。新島では代々、新町と呼ばれるエリアの人がオスを、原町と呼ばれるエリアがメスを演じるのがならわし。獅子の胴幕の中には、各エリアに住む5人の子どもたちが入っています。

舞台では雄の子獅子、雌の子獅子がそれぞれに舞を披露。舞台袖から登場し、舞台端に座っているゲストに向かって歩き、ゲストの膝にちょこんと頭をのせて休憩します。その後、名残惜しそうに後ろを見ながら袖に消えていきます。

激カワのゴロニャンシーン

 

オスは上下左右と空間を大きく使ったダイナミックな動き、メスはカラダを沈めてシズシズと歩くやわらかい動きと、まったく動き方が違います。5人1組ということはつまり、獅子の頭を持ってチームを牽引する子と、一体感をつくり出す真ん中の3人、しっぽを揺らしながら前の4人と動きを合わせる子がいるということ。子どもたちの息のあった演技に注目!

新町の雄獅子親子。うおーーと雄たけびが聞こえそうな、ダイナミックな動きに注目

 

とにかく腰が低い原町の雌獅子。どことなく艶っぽさもありキュンとなる

 

のっしのっしと歩く独特の動きや、よく見るとぴくぴく動いている獅子の耳やしっぽ(子どもたちが手動でやってます)もお見逃しなく。

耳、しっぽ、足の細かな動きに注目!

 

・音頭衆の迫力ある木遣り!中高生のソロデビューも

新町チーム。稽古場はいつもピリッと引き締まった空気があり、子どもたちも練習熱心。本番では拍子木や錫杖も担当する

 

獅子木遣りの木遣りは江戸時代、東京・神田から来た流人によって島に伝えられたと言われています。お囃子がないのは笛や太鼓のバチを武器にして流人が脱走するのを防ぐため、という説もあるなど、流人文化の象徴として今に受け継がれています。

獅子と同じように、木遣りも新町、原町それぞれに音頭衆が存在します。しかも節回しがまったく違っているため、同じ音頭衆でも「新町の人は原町の木遣りを歌えない、原町の人は新町の木遣りを歌えない」のだそう。どんな違いがあるのかは、ライブでぜひ確認してみてください。

獅子に入らない子どもたちも大人に混じって木遣りに参加しますが、今回は新町チームに中学1年生、原町チームに高校2年生が音頭衆として登場。大人でも難しい木遣りを、ソロパートで挑む子どもたちにもご注目ください。

こちらは原町チーム。小学1年生~高校生と年齢レンジが広いのが特徴。みんな元気いっぱいに稽古場を走り回っているが、演舞が始まるとビシッと決めてくるところがすごい

 

・雌雄の親子共演はガチンコ一発勝負!

木遣りも獅子もまったく異なる雄の新町チームと、雌の原町チーム。実は合同練習は一切なく、本番にのぞむのが昔からのならわしなんだとか。「お互いに違いすぎるので、練習するとひっぱられる」というのが理由とのことですが、フィナーレの親子共演はリハーサルなしの一発勝負!その緊張感とライブ感を楽しみましょう。

ウイーアー雄獅子!
ウイーアー雌獅子❤

 

 

余談ですが、獅子にゴロニャンされるのは村長とか会長とか長だけに与えられる特権で、稽古中そのVIP席に座らせてもらい人生のピークを味わった。もうすぐしぬのかもしれない

 

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