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特集 連載 流され島のファンタジア

江戸のアーティストが描いた異世界 流人絵師

Posted on 2020年6月17日

新島に残された流人アートの世界

遊女が結い上げた髪の1本1本まで細やかに描き込まれた、宮川一笑の優美な世界。画面から飛び出してきそうな迫力がありながら、どこかユーモラスな英一蝶の獅子図。東京から遠く離れた小さな島に今も残る江戸の浮世絵は、見る者を一瞬にして異世界へといざなう。

Contents

  • 1 島で描き続けた浮世絵師たち
  • 2 新島の流人絵師
    • 2.1 英一蝶
    • 2.2 宮川一笑
    • 2.3 懐月堂安度

島で描き続けた浮世絵師たち

江戸時代に誰もが楽しめる大衆メディアとして、一大ブームを巻き起こした浮世絵。江戸の町には多くの絵師たちが活躍し、独自の技法やアッと驚く斬新なアイデアを武器に、ヒット作を生み出すべく腕を磨いていたという。

そうした町絵師にも、島流しの憂き目にあった人がいる。金銭トラブルや政治批判など理由はさまざまだが、流人絵師たちは流された島で自活するしか道はなく、生きるために絵を描き続けた。

新島の流人絵師といえば、気品と色香あふれる肉筆美人画で江戸中期に名をはせた宮川一笑(みやがわ・いっしょう)がいる。64歳で流されて以来25年間、新島で過ごした一笑は、島の人々のために七福神や仏画など縁起のよい絵を数多く描いたといわれている。

また異端の絵師としてコレクターも多い英一蝶(はなぶさ・いっちょう)は、三宅島に流される途中で新島に寄った縁もあり、多くの絵が島内に残された。

江戸で評判の絵師が描き出す異世界を目したときの、島人たちの衝撃はどれほどのものだったろう。想像するだけでドキドキしてしまう。流人絵師の作品は島内の各家で家宝として代々大切にされているほか、新島村博物館でも鑑賞することができる。

 

新島の流人絵師

英一蝶

はなぶさ・いっちょう(1652-1724)

英一蝶「怒り獅子」(新島村博物館所蔵)

 

医者の息子として京都に生まれ、のちに江戸で狩野派の狩野安信に師事したが、2年後に破門。多賀朝湖(たが・ちょうこ)という名で狩野派風の絵を描くかたわら、俳句や書道 をたしなみ、吉原遊郭で男芸者として活躍するなど型破りな人生を送る。

絶頂期を迎えていた1698年(元 禄 11年)、幕府批判の絵を描いたなどの罪で47歳のとき三宅島へ遠島。12年後に赦免され江戸に返り咲き、英一蝶と名を改め、多くの風俗画を描いた。三宅島へ向かう途中の数ヶ月間を新島で過ごした縁もあり、新島にも一蝶の絵が数多く残されている。

 

宮川一笑

みやがわ・いっしょう (1811-1862)

宮川一笑「新春遊興之図」(故・植松孫一所蔵)

 

繊細で優美なタッチの美人画で知られる宮川派の絵師として、肉筆美人画を数多く手がけた。師匠・宮川長春が日光東照宮の仕事をめぐって暴行され、その報復として関係者を夜襲。3名を死傷させた罪で 64歳のとき遠島となり、「町絵師・喜平次」として新島に上陸。 91歳で亡くなるまで江戸に戻ることなく新島で過ごした。

絵を描いたり教えたりして生計を立てていたといわれ、多くの島人が一笑の絵を所有していたが、のちに富山の薬売りによって多くが島外へ持ち出されたという。

宮川一笑「遊君禿図」(梅田伊左夫/佐久間逹所蔵)

 

 

懐月堂安度

かいげつどう・あんど 生没年不詳

懐月堂 安度「七福神像図」(前田稔所蔵)

 

元禄時代に活躍した人気絵師。大胆な構図と変化に富んだ筆致の立美人画で一世を風靡した、懐月堂派の中心人物とされる。江戸城大奥最大のスキャンダルとして有名な江島生島事件に巻き込まれ、伊豆大島へ遠島。のちに恩赦で江戸へ戻った。新島には来なかったとされているが、大島時代に描いた絵が新島にも渡っている。

※掲載した絵は全て新島村博物館にて常設展示されている。

 

Designed by 西山里佳(marutt)

Photo by 岡桃子

Text by 秋枝ソーデー由美

*こちらはフリーペーパー『にいじまぐ』2号(2018年8月発行)の特集記事をWeb転載したものです。記事の内容および写真は掲載当時のままとなっており、一部情報が古いものもあります。あらかじめご了承ください。

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